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smellman's Broken Diary

クソみたいなもんです

なれる!SE〜2週間でわかる?SE入門〜(電撃文庫)を読みました

book

電撃文庫が大変な問題作をドロップしましたぉ。
端的に言うとシステム企業に就職してしまった主人公がちっちゃなツンデレエンジニアとOJTを通して業務を学ぶコメディ作。うん、嘘はついてない。嘘は。
実際のところ、作品紹介には「システムエンジニアの過酷な実態(デスマーチ)をコミカルに描くスラップスティック・ストーリー、登場!」とあります。たしかにコミカルだし、涙ながしながら笑いました。血の涙だけどな!
冒頭からいろいろやばいです。恐ろしいほどのブラックっぷりがやばいです。社長のキャラ付けなんて完璧なほどのブラックです。出会い頭に結婚してるとか家族によく連絡してるかとか確認するって...
あと、五人のエンジニアが倒れているっていうシーンがあって、なんとなく懐かしい雰囲気がひしひしとします。懐かしいね、床で倒れてるところを出社した新卒の人たちに起こされる日々とか。バイト時代だけど...
作品紹介にあるように、かなりコミカルに描かれています。さすがに、ネットワークの知識が無いのにCiscoのconfigを一日で書けとかっていう話は無いですよ。僕なんかこの小説に比べたらすごく気楽な方で、例えば「時給810円のアルバイトで都内某区のGISの開発責任者任命」とか、「時給1000円のアルバイトでJRun+Coldfusion+Struts(当時Macromediaの資料に実装例が一つあっただけで日本の導入事例無し)という組み合わせで卸売り市場のオークションシステムのシステム構築(Javaのコード書いたの結局俺だけだったような...)」とか、「USBトークンを使った外部ネットワーク接続を提供していたら実はUSBトークン使ってなくて、お客さんから指摘されたら上司が逃亡(そのまま退職)して一から設計(&コードディング)」とか、「(退職した上司が)テープドライブにバックアップをとってるとお客さんに言っていたのに実は取っていなくて構築し直しの巻」とか、「(精神科の)病院から帰ってきたら上司がやってきて、ノートパソコン使ってるっていう理由で客先常駐(そして妹夫婦との旅行が消滅)」とか、「日曜日にうっかり出社したらPostgresの冗長化を依頼されたでござる(納期は明日!)」ぐらいですよ。本作の最後に出てくる作業(読んでからのお楽しみ)に比べたら、屁でもないですよね!あれ、涙が止まらない....
あと、本作で面白いのがツンデレエンジニアがネットワーク専門のSEというので、完全にその話にフォーカスしているところ。だから、その手の話がわかる人にとってはかなり親近感が沸いて、そして戦慄を覚える作品になっていてます。この手の話って中途半端な知識だと技術的な面でぶれてしまうものが多々ありますが、その点この作品は技術面ではすごくよくできています。さすが、筆者がドロップアウトした元SEなだけあります。むしろ、ネットワークやってるやつがこの作品に出てきた技術用語すべて知っていなかったらヤバいよってぐらいです。インフラエンジニアは是非読みましょう。きっと目から汗を流すに違いないです。ちなみに、僕が知らなかった単語は「人工(にんく)」だけだったと思います。それだけ、僕はブラックに染まってないんだなぁとしみじみ感じました。あれ、やっぱり涙が止まらない....
わりと本質をついている部分というのがツンデレエンジニアの振る舞いでしょう。部下に対する考え方とかは僕を支えてくれた上司に共通するものがあります。というか、実際同じようなことを言われたことが多々あります。そういう意味でも、本作を通じて支えてくれた/今も支えてくれる上司や同僚に感謝の気持ちがじわじわでてきて、そういう意味でも涙が出てきます。まぁ、前職は支えてくれた人がいましたけど、業務で心が折れて辞めちゃいましたが。こういう人がいてもやっていけるってのもありますが、こういう人がいてもやっていけなくなるっていうのもあるんですよね。それがエンジニアだと思います。世の中そういう人たちだけではなくって、中にはお客さんに嘘ついたり、安請け合いしすぎ(僕もその傾向がある)て泥沼になるケースだってあります。本作が続けばそういうところがもっともっと見えてくるかもしてないです。
まぁ、本作みたいなのはありえない、フィクションだよねっていうのはありますが、これ、下手すらノンフィクションになるようなぎりぎりのところを描いています。なので、SEってこんなんだよっていう極例としてはありなのかもしれないです。さすがに最後のシーンの一発本番は...いや...あれ...ありえそう...
いちおう最後に注意ですが、かなりネットワーク用語が頻発します。結構な単語が説明無しで出てくるので、そこらへんで読めなくなる可能性はあります。ただ、基本的にそこらをぶっとばしても話としてすごくおもしろいし、雰囲気は十分に伝わりますので、多くの人に読んでもらいたいです。まぁ、インフラエンジニアは読んでね(はぁと
ちなみに、僕はプログラマーですが、何か?(最近、プログラマー兼インフラエンジニアと言っているけど、システムエンジニアではない!)

なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)

なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)