smellman's Broken Diary

クソみたいなもんです

小さな村

私は小さな村に住んでいる。今はおばあちゃんと二人暮らし。
ある日、私は村の男の子から告白された。だけど、私はそれを断った。なんでもない、単に好きではなかっただけだった。
この村では子供たちは村で一軒だけの喫茶店で食事を取るのが普通だった。その日も私もいつものように喫茶店に行った。
適当に席に着くと私の席の前に小さな女の子が座ってきた。告白してきた彼の妹だ。彼女は当たり前のように聞いて来た。「断ったんだって?」
私はただ頷くと彼女は少しため息をついた。「しばらくこれでお別れだね」そう言うと彼女はこう加えて来た。「次は誰の子になるんだろう?」
私は少し考えてからこう返した。「私の従姉がこの前孕んだって聞いたよ」彼女はそれを聞くと残念そうにうなだれた。「なんだ、今度はそっちの家族なんだ」
その会話の後、私たちはお揃いのオムライスを注文した。しばらくすると村の子供たちがどんどん入って来てお店はあっという間に一杯になった。そして、最後に告白してきた彼が入って来た。
彼は私の席の横に立ってこう言った。「挨拶は済ませてきたよ」私は「そう」とだけ答える。
彼は少し悲しげに「しばらくお別れだね」とだけ言うと、今度は喫茶店のみんなに聞こえるように「それじゃ、みんなさようなら」と言った。
それを聞いた村の子供たちは席に備え付けてある傘を手に取り、慣れた手つきで傘を開く。そして数秒後、彼は散らばった。肉片はなく血だけがめちゃくちゃに散らばった。みんな傘で顔だけが汚れないようにしていた。
そして、みんな傘を閉じて食事を再開した。私もオムライスを口に運ぶ。私は「少し彼の味がするね」と言うと、彼女はからかうように笑う。「そんなの分かるはずないじゃん。ただの血の味だよ」
食事が終わると彼女はポケットからタバコを取り出す。一服してる姿を見て私は一本だけタバコを分けてもらった。「珍しいね」と彼女が言う。「何となくそういう気分なの」と私が答える。
こうして村からまた一人、人が散っていった。誰かが誰かを拒絶すると、拒絶された方が散るという運命。そして誰かが子を産み、永遠に人が減る事はない。誰も村から出て行かない。出て行けない。この小さな村は永久に平和だ。